高品質で美味しいワインを安定して造り出せるカリフォルニア。その理由のひとつは、冬に行われる試験室での緻密なデータ解析にあります。

「ワイナリーのラボ」と呼ばれる試験室では、大学などでワイン学を修めた専門のエノロジスト※達がデータ解析をし、醸造家であるワインメーカーのサポートをします。

醸造家は、エノロジストと共にブドウ収穫までに施された剪定、土づくりなど、細かくおびただしい量のデータを分析し、次のヴィンテージに生かします。また、緻密に行われるワインのブレンドもカリフォルニアならではの最先端の分析を駆使したもので、毎年丁寧に行われます。

今をときめく偉大な醸造家たちも、データ解析を日々格闘し、細かく地味な仕事を重ねてきました。学校では習うことのできないワインづくりの経験を通し、類まれな技術と勘をひとつひとつ身体に浸透させていきました。

1980年代位からカリフォルニアのワイン生産者の間で、「ブドウを育て、ワインを育て、人を育て、技術を育て、消費者を育て、市場を育てるワイングローワーズの精神」が広がり始め、今日までに人々の中心にワインがある文化が根付いていきました。

醸造学のデータ解析と、人々の心にともされたワインへの愛情。カリフォルニアワインは、そんな背景から育まれています。今宵は、あなたもワイングローワーズになった気持ちで、ワインを味わってみませんか?

※エノロジスト:栽培学、醸造学に基づき科学的にワイン造りを支える専門家

●文:川邉久之(ワイン醸造技術管理士)