朝夕が一気に寒くなるこの季節は、様々な食材が旬を迎える食欲の秋。テーブルにおいしいワインがあれば食卓も一気に華やかに。そこで、よりワインを楽しむミニ知識「ナイトハーベスト」のご紹介です。

ナイトハーベストとは、1990年代頃からカリフォルニアで盛んになった深夜から未明にかけてブドウを収穫する技法です。カリフォルニアの秋は、昼夜の寒暖差は大きく夜は冷え込みます。収穫したばかりの冷たい果実をワイナリーに朝一番で運び、フレッシュな状態で仕込みます。「朝摘みのフルーツをすぐにジュースにすると最高に美味しい!」のと同じようにブドウ本来の力を最大限に引き出せる方法です。

当初は、ワイン用ブドウの生産量が急増したカリフォルニアで昼間の収穫作業だけでは間に合わないことから始まったナイトハーベスト。今では冷えた状態のブドウを使用することで、ワイナリーでブドウを冷却するエネルギーの削減ができ、地球の環境にも優しい手法として定着しています。

ブドウが最も良い風味を放つ瞬間を逃さず、果実の旨味をぎゅっとボトルに詰め込んだワイン。ナイトハーベストには、美味しさの理由がしっかりあります。

カリフォニアの特色を十二分に生かしたナイトハーベストのワイン。その美味しさの封印を旬の今こそ解いてみませんか?

●文:川邉久之