カリフォルニアワインの2020年ヴィンテージの行方、気になりますよね。

新型コロナウイルス対策では国に先立ち厳しい規制を敷いた初動の早さが評価された州政府。レストランの屋内営業停止措置により得意先からの注文が止まり、ワイナリーは大きな減収に。それでもワイン産業はエッセンシャル・ビジネス(生活に不可欠な業種)と認められたので、現場では様々な規制を守りながらワインを造り続けて来ました。

8月上旬の猛暑の影響で平年より早めの収穫が始まり、良いヴィンテージに胸膨らませていた矢先、異常気象による落雷の多発が引き起こした山火事が!! サンフランシスコ湾の北方と南方で発生した2つの複合的火災はそれぞれ、2年前の10月に発生した州北部での山火事に次ぐ規模に発展。周辺地域のワイン生産者らは、コロナの退散など待たずに襲い来る新たな不安と闘うことに。ただ、焼失したのは州内約4,200軒のワイナリーのうち、ソラノ郡とサンタ・クルーズ・マウンテンズの各1軒ずつでした。

カリフォルニアワイン協会に聞いたところでは、最新の研究では、火災で発生した煙は24時間以上経過するとブドウに無害であることが明らかになっています。それでも、火災発生場所からの距離や煙の濃度、風向き、ブドウの成熟度や品種など様々な要因によって影響は異なります。だから生産者たちは慎重に慎重を重ねて、煙の影響がないか、収穫したブドウの果汁を検査に回すアセスメントを行うなどの対策を講じています。こうして安心・安全で美味しいワインを届けようと、生産地では折れない心でベストを尽くしています。

私たちも楽しみに待ちましょう。

●文:近藤さをり