独立記念日の7月4日、アメリカは、待ちに待った「夏のキックオフ!」。国中がより活気に満ちていきます。カリフォルニアのワイナリーでは本格的なバケーションシーズンが始まり、スタッフは交代でゆっくり家族との時間を過ごしたり、故郷に帰ったり、それぞれの余暇を満喫します。

そして、各ワイナリーでは、バケーション前の全員が集う慰労を兼ねたパーティーが盛大に行われます。この時期の旬であるフルーティで爽やかな白、ロゼ、スパークリングワインがテーブルを賑わせ、スタッフが腕を利かせたメキシコ料理やBBQ料理など自慢の料理を堪能します。この日は、仲間同士で冷えたボトルからグラスにワインを注ぎ合い、互いの一年を称えるとともに新たなビンテージに向けたチームの結束を固めます。

独立記念日を心待ちにしていた人々は、各地で盛大に打ち上げる花火が美しく輝く夜空を見ながら、国の誕生を祝福します。普段、カリフォルニアを含む殆どの州では、花火の販売や使用が法律で禁止されているため、一夜限りの特別なイベントとなり大いに盛り上がります。

独立宣言を起草した後の第3代大統領、トーマス・ジェファーソンは、熱烈なワイン愛好家として有名でした。彼は、故郷のバージニアでブドウを栽培、アメリカンワインのパイオニアを夢見ましたが、残念ながら技術の限界から成就せず、想いは後世へ託されました。

独立から250年近く経った今も、ワインを愛したジェファーソンの想いは継承されています。もし、彼が現代にタイムトリップしたら、カリフォルニアワインの出来栄えにどれだけ驚嘆するでしょう。

さあ、今宵は、歴史と共に進化してきたカリフォルニアワインですっきり喉を潤し、本格的な夏の到来を楽しみましょう!

文:川邉久之 (ワイン醸造技術管理士)