チャーミングなピンク色が美しいロゼワイン。6月の第2土曜日は、ナショナル・ロゼ・デイとして欧米を中心に広がっている「ロゼの日」です。

白ワインは白葡萄の果汁、赤ワインは黒葡萄の果汁のほか、果肉、皮、種を発酵して造ります。それに対し、ロゼワインは黒葡萄の皮の赤色が少し溶け出した頃、ほんのりピンクに染まった時点で引き上げる、色の美しさと果汁の爽やかさをしっかり閉じ込めたワインです。

豊富な日照と乾燥した恵まれた気候で、葡萄が充分に完熟するカリフォルニアでは、フルーティーさがより楽しめる素晴らしいロゼワインが生まれています。黒葡萄の皮の色は、アントシアニンというポリフェノールで渋味を感じさせます。このわずかな渋味が、果実感と合わさり美味しいアクセントをもたらします。

ロゼワインの魅力のひとつは、“マルチマリアージュ”をもたらす万能ワインであること。 冷えた状態では、爽やかな白ワインのように、サラダなどの前菜や魚介との相性をキリリと光らせます。そして徐々に温度が上がるにつれて、ほのかな渋味が軽めの赤ワインのようにはたらき、肉料理などメインまでカバーできます。最近では、醸造においてマロラクティック発酵で乳酸を高め柔らかな旨さを感じさせたり、樽熟成によりトーストやバニラの風味を感じさせるスタイルなど多様化し、合う料理の領域がさらに拡がっています。

「今日はどのワインを選ぼう?」「何人かでボトルをシェアするけどどんなワインがいいの?」と迷った時は、目にも鮮やかに美しく、料理の端から端まで心地よく寄り添う、カリフォルニアのロゼワインはいかがでしょうか?さあ、今宵はロゼワインで夏の始まりをお祝いしましょう!

文:川邉久之 (ワイン醸造技術管理士)