強い日差しがまだ眩しい9月のカリフォルニア。夜は冷たい海からの温度の恩恵のもと、昼夜を問わず本格的な収穫がスタートします。ワイン産地に続くハイウェイでは、摘みたてのブドウを満載したトラックが走りぬけ、新たなワインが生まれる躍動感がみなぎっています。
ワイナリーに到着したばかりのブドウは、フレッシュさを保つため、素早く破砕され、発酵槽で仕込みが始まります。発酵が始まると、果実や花を思わせるアロマが発酵槽から沸き上がり、このシーズン特有の香りがワイナリー周辺一帯に漂い、風の流れと共に人々に届きます。
ブドウ破砕の時期は、クラッシュ・シーズンと呼ばれ、ワイン醸造家とチームの緊張感は高まります。厳選された素材そのままを最高のワインにするべく、全神経を集中し自らのワイン造りと向きあうからです。ワイン関係者同士の特別な挨拶が交わされるのも、この時期です。
”Have a Nice Crush!(素晴らしいクラッシュを!)”。ワイナリーの垣根を超え、互いに笑顔でエールを送りあう、とてもポジティブなエネルギーが満ち溢れます。
カリフォルニアワインの美味しさの秘密は、こんな開放的で陽気、そして共に収穫を称え合う文化があるからでしょう!さあ、あなたもカリフォルニアワインをグラスに注ぎ、同じ仲間として声高らかに、“Have a Nice Crush!”
●文:川邉久之(ワイン醸造技術管理士)
●画像:sonoma valleywine
https://www.instagram.com/sonomavalleywine/