本格的に冬深まる1月のカリフォルニア。スパークリングワインを醸造するワイナリーでは、「壜内二次発酵」がゆっくり時間をかけて行われる季節です。

壜内二次発酵とは、ブドウ果汁の糖分をアルコール発酵したスティルワイン(発泡無しワイン)に、砂糖などの糖類と酵母を加えたものを入れ、壜の中でもう一度アルコール発酵を行う工程のこと。酵母が細かな炭酸ガスを発生させ、ワインに溶け込ませる、大切なステップです。

壜内二次発酵後の酵母に触れた状態のワインは、横に寝かせ、一年余りから長いものでは数年間熟成することで、より上質な旨味や細かい泡もちを促す成分をワインに含ませます。 そして、最後の工程で酵母が除かれたワインは、透明なスパークリングワインとして完成し、グラスに注いだ時に泡の花が満開に咲くように美しく弾けます。

カリフォルニアのワインメーカー達は、雨が少なく太陽降り注ぐこの地に17世紀から続くシャンパーニュの伝統を根付かせました。毎年が当たり年のようなブドウから、環境への負荷が少ない有機農法などにより、土地の風土を損なわないスパークリングワインを醸造できることこそが、彼らの革新なのです。

酵母に由来するアミノ酸などの旨味成分は、グラスの中に立ち昇る美しい泡とともに、お出汁やブイヨンなどで調理された旨味豊かなお料理と最高の相乗効果をもたらします。寒いこの季節こそ、温かいお料理とカリフォルニアのスパークリングワインで最高のひと時をお過ごしください。

文:川邉久之 (ワイン醸造技術管理士)
写真:https://www.facebook.com/gloriaferrerwinery/