カリフォルニアで主に赤ワインになる黒ブドウ品種の中で、栽培面積第3位なのがジンファンデル。1990年代末までは第1位だった品種で、ワイン版のコーラ的な感じでしょうか、いまだに「アメリカ人のココロ、カリフォルニアの魂」ともいうべき品種です。
原産地はクロアチアで、アメリカ東海岸に入ってきたのは1820年代のこと。ジンファンデルというのは、アメリカにきてからついた名前であります。1840年代のゴールドラッシュの頃に西海岸のカリフォルニアに到来し、大人気になりました。21世紀に入るまでは、「どこの国から来たなんのブドウなのか」が分からなかったブドウで、その「カバンひとつでアメリカにやってきた移民感」が、この国で愛される理由のひとつなのかもしれません。
味わいは、とにかく果実味がたっぷりで、渋味はさほど強くなく、万人に愛されるわかりやすい味わいが魅力です。甘口ロゼから軽快な赤、そしてボリュームたっぷりの濃厚な赤までスタイルはとても幅広く、お値頃なものが比較的多いですが、カベルネやピノに負けない高級ワインもあります。じつにアメリカらしい、カリフォルニアらしいブドウなので、未体験の方はぜひ一度お試しを。
写真は樹齢100年を超すジンファンデルの古木
●文・写真:立花峰夫