アメリカ農務省格付け最高位のアンガスビーフの熟成肉を現地スタンダードの特注オーブンを使い900度で一気に焼くステーキ。みなさんなら、どんなワインと合わせたくなるでしょうか?店のセラーには1,000本以上のワインがあり、その8割がカリフォルニア。自身で考えるにしても、ソムリエに相談して決めるにしても選び甲斐があります。

バイザグラスでは常時8種類以上が揃い、この日は、スパークリングの他、赤8アイテム、白5アイテムがオンリストされていました。カリフォルニアが中心ですが、必ずフランスワインをひとつずつ入れて、対比して楽しめるよう考えられています。1杯120mlのところ、ハーフサイズ60mlでのオーダーもできるのは、いろいろ試したい人には嬉しい配慮です。店自慢のポーターハウス・ステーキを注文し、Tボーンの上部か下部かによって異なるワインをペアリングするなんていう楽しみ方はいかがでしょう?

▲左からカモミ・メルロー、フランシス・フォード・コッポラ・ディレクターズカット・カベルネ・ソーヴィニヨン、 マイケル・デイヴィッド・シックス・センス・シラー

マイケル・デイヴィッド・シックス・センス・シラー(写真右)×プライムニューヨークサーロイン・ステーキ

食べ応えある400gの骨付き。シズリングで表面をパリッと焦がすので、軽い苦味で出ます。これにはスパイス感のあるこのワインがぴったり。肉もワインも噛み応えのある組み合わせです。

800gほどの肉を2~3名でシェアするなら、看板メニュー、エンペラーステーキを部位ごとにバイザグラスでペアリングするゴージャスな楽しみ方を。Tボーンの片側サーロインは上記のシラーで。もう一方のシャトーブリアンは、その繊細な味わいを柔らかく包み込むカモミ・メルローを。このワインはシズリングしないで仕上げるフィレ・ミニョンにもお勧め。シラーとメルロの中間の味わいのフランシス・フォード・コッポラ・ディレクターズカット・カベルネ・ソーヴィニヨンなら、両方の部位をひとつのワインで通せます。

▲テーブルに3つのワインを並べ「サーロインなら、こちら」と勧めるのは、ワイン・飲料マネージャーでソムリエの伊藤博之さん。

ホテル・オークラに14年ほど勤めていた頃、現場で扱うのはフランスワインが中心だった中、カリフォルニアなどのニューワールドワインをよく売っていました。理由は、ひと口目で「美味しい!」と言って貰える確信があるから。その時の経験は、ボトルワインの8割がカリフォルニアという現在の職場で、さらに活かされています。コロナ前は月に一度はワイン会を開催し、造り手と飲み手との接点を作って来ました。ランチでもワインは充分楽しめるので、気軽に来店して欲しい、と語る笑顔が穏やか。週末ランチ利用では女子会が結構多い、というのも頷けます。

▲1920年代ニューヨークの世界観をイメージした空間。

親密な距離感を演出できるソファ席などもあり、さぞかしデート利用が多いのかと思いきや、意外にそうとも限らないのだそう。ビジネス利用の他、誕生日など特別な記念日を祝いに、あるいはフリーフローを楽しみに来る人々と、客層は様々なようです。

エンパイアステーキハウス六本木
東京都港区六本木6-7-11
カンデオホテル1階
営業日と営業時間は公式ウェブサイトをご確認下さい。
TEL:03-6721-1909
http://www.empire-steakhouse-japan.com/

文:近藤さをり
写真:小松勇二