少し大人びた気持ちにさせてくれるエレガントで重厚なおもむきの赤ワイン。憧れの気持ちと共に初めて口にした時、舌を刺激するその渋みが苦手と感じられた方もいらっしゃるかもしれません。

ブドウの果汁から造られる白ワインに対し、赤ワインは果汁の他に皮や種など、ブドウの実を丸ごと使い、それらに含まれるポリフェノールがワインに溶け出し渋みのもとになるからです。

しかし、赤ワインにも渋みが柔らかく飲みやすいものも沢山あります。

私がカリフォルニアでワイン醸造をしていた当時、畑でブドウの皮と種を噛んだ味わいを完熟の目安とし、ブドウの収穫時期の判断材料としていました。燦々と降り注ぐ太陽の下で、ブドウが熟して甘さが増し、皮の赤色が濃くなるとポリフェノールの渋みは和らぎます。

そのブドウを原料にして丁寧にワインを造るので、芳醇な果実の旨味を最大限に発揮しつつ、味もまろやかになり滑らかな舌触りのワインが出来るのです。

カリフォルニアの赤ワインは、たいへん飲みやすく、飲みごたえもあり、初心者から長年の愛飲家まで多くの人達を魅了し続けています。ポリフェノールも多く含まれる赤ワインは、アンチエイジング効果も期待が持てそうです。

●文 : 川邉久之